高エネルギー加速器科学研究奨励会

褒賞 - 平成27年度選考結果

2015表彰式




























平成28年2月15日に表彰式がアルカディア市ヶ谷にて開催されました。




西川賞

    

佐藤 朗(大阪大学大学院理学研究科助教)
吉田 誠(高エネルギー加速器研究機構)
「核物理研究センター大強度ミューオン源の開発と建設」


    

三部 勉(高エネルギー加速器研究機構)
石田 勝彦(理化学研究所副主任研究員)
「極冷ミューオンビーム実現のためのミュオニウム標的の開発」

小柴賞

    

里 健一・永野 輝昌・鎌倉 正吾・山田 隆太(浜松ホトニクス株式会社 固体事業部)
「Multi-Pixel Photon Counter(MPPC)の特性改善に関する研究」

         

熊谷賞

    

クライストロン設計・開発チーム 代表:大久保 良久(東芝電子管デバイス株式会社)
「クライストロンの開発に関する加速器科学への開拓的貢献」

   

選考理由一覧

西川賞受賞者: 佐藤 朗・吉田 誠氏
研究題目「核物理研究センター大強度ミューオン源の開発と建設」
 
選考理由:
核物理研究センターリングサイクロトロンに最適化した大強度、高効率ミューオン発生装置(MuSIC)を開発、建設した。  装置は、超伝導ソレノイドの強磁場中に、パイオン生成標的を配置することにより、発生パイオンやミューオンの大立体角捕獲を可能としたことが特徴である。 そのために、超伝導コイルシステムを最適化し、さらに小型冷凍機を用いることにより、ミューオン収量を最大化しながら核発熱を抑えることに成功した。 この手法は、J-PARC-MLFでのミューオン電子探索実験(COMET)に応用されるなど、今後のミューオン科学研究に大きなインパクトを与えている。  


西川賞受賞者: 三部 勉・石田 勝彦氏
研究題目「極冷ミューオンビーム実現のためのミュオニウム標的の開発」
 
選考理由:
TRIUMFのミューオンビームを用い、室温で、ミュオニウムを大量に生成する技術を開発した。  本技術は、形状が安定したシリカエアロゲルにレーザー穴加工を施すことによりその形状を最適化し、室温の熱エネルギーを持つミュオニウムの収量を、既存技術で生成する場合の約10倍に増やしたものである。  これにより、大量のミュオニウムが生成可能となり、ミュオニウムから作られる超低速ミューオンの強度は、例えば、J-PARCでのミューオンg-2やEDMの精密計測実験を可能とするレベルに近づく。  本成果は、ミューオン加速という世界初の技術実現にむけても大きな前進をもたらし、加えていろいろな精密素粒子実験や、物質科学など、広範囲の研究への応用が期待される。  


小柴賞受賞者: 里 健一・永野 輝昌・鎌倉 正吾・山田 隆太(浜松ホトニクス株式会社 固体事業部)
研究題目「Multi-Pixel Photon Counter(MPPC)の特性改善に関する研究」
 
選考理由:
素粒子実験などで要求される高性能MPPCについて、MPPCの3D構造化によりピクセル数を増加、実効的な受光面積を大きくして検出感度を向上させるとともに、光検出素子表面にアンチリフレクションコーティングを施すことにより200nm以下の短波長領域光に対しても高い検出感度を持つ装置を開発した。 特に、MPPCに最適化されたウェーハーと加工プロセスを採用したことが、MPPCの暗電流とアフターパルスの大幅な改善につながっている。 さらにMPPCのピクセル間にトレンチを設け、その中にクエンチ抵抗としても働く金属皮膜抵抗を埋設する構造とした。これによりポリシリコン抵抗を用いる通常のMPPCに比べてクロストーク確率を5%以下に抑えるとともに、抵抗値の温度依存性が大幅に改善され、100K〜300Kの広い温度領域で安定して使用できる新しい高性能MPPCとなった。  

 

熊谷賞候受賞者:クライストロン設計・開発チーム 代表: 大久保 良久(東芝電子管デバイス株式会社)
研究題目「クライストロンの開発に関する加速器科学への開拓的貢献」
 
選考理由:
本チームは、多年にわたり大出力クライストロンの開発と製造において多大な業績をあげてきた。 とりわけ、連続波出力1.2MWの500MHzクライストロンは、30年前の開発当時のみならず、現在でも世界的に最大出力であり、高エネルギー加速器研究機構でのTRISTAN加速器からKEKB加速器の高周波源として、日本の高エネルギー物理学研究に多大の貢献をした。 さらに、国際リニアコライダー用に開発した多ビームクライストロン(出力10MW、1.3GHz)は、大電力用途として初めて多ビームクライストロンの開発に成功したものであり、65%という高い効率は当該チームの技術力の高さを示すものである。 その他、国内に限らず、世界各国での電子及び陽子加速器用高周波源のための製品開発にも積極的に取り組み、世界の加速器科学の発展に大きく寄与している。

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