高エネルギー加速器科学研究奨励会

設立目的

 加速器科学は、物質の究極の姿やその振舞を調べ、自然の成り立ちやそこに働く力を明らかにしようとする高エネルギー物理学のような基礎研究から、遺伝子などの生体物質や各種材料物質の構造と機能の解明、超LSI素子などの超微細加工、公害物資などの超微量分析、光電変換素子(太陽電池)、癌の診断や治療など産業や医療への応用的研究を含んでいます。また、研究に使用される巨大な施設や各種の装置は、優れた民間企業の協力のもとに先端技術の粋を集めて作られており、これまでにも電磁石、超高真空、超伝導、極低温、大電力高周波、計算機・情報などの分野で多くの新しい技術が開発されております。

 このように、我が国においては、高エネルギー加速器研究機構を中心に行われている加速器科学の研究は、自然科学における先駆的な研究であるばかりではなく、産業界への広範な波及効果をもたらすものであり、まさに科学技術立国を掲げて世界に貢献しようとする我が国において、極めて重要な役割を担っていると言えます。

 即ち、加速器科学においては、基礎的研究の一層の発展とともに、そこから生まれる先端技術の各種産業への応用を促進することが強く求められており、そのためには、関連する産・学・官の研究者・技術者の協力によって活発な研究が行われ、さらにはこのような研究を積極的に援助できるしかるべき方策が構じられなければなりません。

 そこで昭和52年以降、 任意団体として高エネルギー加速器科学研究奨励会が設けられ、 国と民間との技術交流や研究者・技術者の国際交流などの事業を行ってまいりました。 しかし上述のような社会的要請等に鑑み、 基礎科学としての加速器科学の研究と、 これによって得られた学問的、 技術的成果を工業、 農業、 医療など各種産業に有効に利用するための応用研究に対する助成を行い、 これらの発展、 育成を図ることが急務であると考えられることから、 この任意団体の体制を整備充実し、本財団法人を設立したものであります。